声と言葉とワーキングマザー

司会の仕事、演劇、ITベンチャー勤務で学んだこと、WM生活を発信します。

ありえなかったことが仕事になった

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自宅でのナレーション収録(宅録)がありました。このマイクはレトロな形でお気に入りです。もちろん音もなかなかのものです。
(ピントがマイクに合っている…。自撮りって難しいですね。)

 

わたしが喋る仕事を始めたころ、自宅でナレーションを収録して商品とするなんて考えられませんでした。機材も編集ソフトも高価だし、生活雑音などノイズの防ぎ方も知らなかったし、何よりそもそも宅録なんて考えたこともなかった。
ナレーションは専用スタジオで録るものであり、自宅で録ったものなんて音が悪くて使い物にならないというのが常識だと思っており、それを疑うことすらしていませんでした。

あれから16年。わたしは音声収録や編集を学校などで習ったわけではありませんが、今、自宅で声を録り、編集し、お客さまに納品しています。

さすがにTVコマーシャルで使うような音声は従来通りのスタジオ録音になりますが、eラーニング教材や、Web上で使う動画などは、そもそもPCやスマートフォンのスピーカー、通常のイヤフォンの性能の面から考えても、宅録の音声品質で十分です。

そしてナレーターがひとりで行う宅録はコストが抑えられるため安価で提供できます。安売りをするわけではなく、安価だからこそ新しい市場の開拓につながりました。教材や動画に音声をつけたいけれどスタジオ収録をする予算はない、でも、宅録の価格なら発注したいというお客さまはたくさんいらっしゃるのです。宅録サービスがなければナレーション音声を購入することはなかった方たちです。


16年前とちがい、ナレーションの宅録はめずらしくもありません。
機材の性能が上がり、安価になり、ネットで手軽に購入できるようになり、使うための情報もネットに溢れ、ネットがあれば自宅でも仕事上のやりとりに不自由しなくなり…、たしかに環境は大きく変化しました。でも一番変わったのは、人の(わたしの)考え方です。

 

「スタジオ以外でナレーションを録るなんてありえない!」から、
「自宅で録ったナレーションを、必要としてくれる方に提供する」へ。

 

プロのナレーターで、それほど仕事がなく時間に余裕があっても、宅録なんてやりたくない、機材の使い方や編集方法を覚えるのは嫌だ、という方もいます。もちろんそれは人それぞれの考え方ですが、個人的には、時間があるならやってみたらいいのに、と思います。


何が言いたかったかというと、これはナレーターの宅録に限った話ではないということです。

インターネットが進化し、膨大な情報があり、選択肢は増え続けています。わたしは宅録というかつての自分が想像しなかった形でスキルを活かしていることを感慨深く思うと同時に、このような新しい選択を続けていくことに、ワーキングマザーとして生きるヒントがありそうだと考えます。

社会はまだまだワーキングマザーに優しくありません。それでも仕事も育児もしたいなら、今の社会に足りないものをうらむのではなく、自分の行動を工夫して道を切り開いていくしかないです。

環境と考え方の変化で、ありえなかったことが仕事になりました。環境はまだまだ変わり続けるでしょう。わたしはそれとともに考え方を変え続け、ありえなかった仕事や働き方を手に入れていくことができるでしょうか?

古い従来型の考え方にとらわれていないか、新しい挑戦に尻込みしていないか、問いかけ続けることで、自分の道を進んでいこうと思います。