ワーキングマザーこそ学ばなきゃ
ワーキングマザーはわたしが小中学生のころはめずらしかったものですが、
いまはもう7割近いお母さんが働いているのですって!
7月に公開された2015年の簡易調査結果によると、18歳未満の子を持つ世帯は1181万7000世帯(全世帯数の23.5%)。その母親の仕事について尋ねたところ、「正規の職員・従業員」(22.4%)、「非正規の職員・従業員」(37.2%)などを合わせた「仕事あり」が68.1%だった。
「正規の職員・従業員」に限ると2割ちょっとですが、それでもずいぶん増えましたね。
しかし、一方で気になった記事がもうひとつ。
こちらはニュースではなく書籍の紹介です。ちきりんさんの新刊「自分の時間を取り戻そう」のPRとして、「多忙で余裕のない人」の例としてあるワーキングマザーの物語が紹介されています。
ケイコは朝5時半に起き、
週末に用意した作り置きおかずで家族3人のお弁当をつくり、
朝食は立ったままつまみ食いし、
スマホで仕事の緊急メールをチェック、
PCを立ち上げて30分で資料を修正し、
シンクに大量の食器や鍋を残したまま子供と一緒に家を出て、
通勤時間中にスマホでできる限りの仕事を進め、
職場という名の戦場に大股で歩いていき、
子供の受験や義実家への心休まらない帰省について思い悩む…
…こんなの読んだら、
うわーワーキングマザーになんてなるもんじゃないわーって思いますよね~。
まあそうならないために時間を有効に使う力を身につけようねというPRなんですけれど、
とはいえこのケイコさんの状況って、すべてではないにしても、たしかにワーキングマザーには当てはまるところがありますよね。
今のわたしはここまではひどくないけれど、共通する部分はあるし、数年後はどうなっているかわからないし。
そもそもちきりんさんのブログによると、この本を含む3冊のシリーズは「これからの世の中を生き抜くために必要となる、もっとも大事な能力」をひとつずつ解説しているものなのだそうです。
そのシリーズの第3弾として先日出版されたのが「自分の時間を取り戻そう」。
わたしも「生き抜く力」について考えることは多くて、
秋に帰省したときにも、札幌で活躍している先輩ワーキングマザーと「女性は特に、生き抜く力を持っているかどうかが大事!」という話で盛り上がりました。
結婚、妊娠、出産による生活の変化が大きい女性は、男性以上に、本質的な「生き抜く力」を持っているかどうかが問われます。
どこに行っても、どんな仕事でも通用する根本的な力を持っているかどうかで、日々の満足度が大きく変わります。その変わり幅が、男性に比べて大きいのです。
先輩とは、資格や語学力なども大事だけれど、それ以前に「生き抜く力」を持っている人のほうがやっぱり強いよね、結婚しても出産しても好きな仕事を続けられるよね、という結論になりました。
じゃあ「生き抜く力」ってなんだ?というと、
わたしはそのうちの一つは「伝える力」だと考えています。
ちきりんさんがあげている「現代を生きぬくための根幹の能力」はシリーズ1冊目から「考える力」、「マーケット感覚」、「限られたお金や時間を有効活用する力」。
「伝える力」はちきりんさんのいう「考える力」と「マーケット感覚」から生まれるものだと思います。
だけどワーキングマザーに限って考えるなら、
問題は、そういう本質的な力を身につける、学ぶ時間と機会がないってことです。
だから冒頭のケイコさんのように余裕のないワーキングマザーこそ「限られたお金や時間を有効活用する力」から取り組むのが正しいアプローチなんでしょうけれど、その本を読む時間を確保するのも一苦労ですよね。
時間というのは、単純な「時間」のことではなくて、集中できる時間がないということ。
結局、学ぶ機会がない、ってことと同じなんですけど、読書でも、eラーニング受講でも、セミナー参加でも、出産前は当たり前にできていた能力開発に集中する時間をとれないのですよね。なぜなら子供を預けられないから。
子供を預けられないというのは、「預ける場所がない」「預けてまで勉強するなんて気持ち的にできない」の2つの問題があります。
でもこの問題を、個人でも社会でもなんとかしていかないと、ワーキングマザーはずっとその場しのぎで、いま大変なことはずっと大変なままなんじゃないでしょうか。根本から変えることができない。
預けられる場(やベビーシッターなどのサービス)の拡充と、
預けて勉強してもいいんだという価値観の改革。
場の拡充はひとりの力では難しいけれど、価値観の改革は、わたしたちワーキングマザーひとりひとりが取り組めます。
今日2時間預けて学ぶことで、将来の働き方や生活が変わり、毎日10分の余裕が生まれるようになるなら、そっちのほうがずっといいわけですよね。
もちろんそんな単純ではないけれど、長期的に考えること、「生き抜く力」を身につけることは絶対必要なはず。「ケイコさん」みたいにはなりたくないと思うなら。
20年後、娘が社会に出るころ、ワーキングマザーの割合はどのくらいになっているでしょうか。
娘がワーキングマザーの道を選ぶかどうかはわかりませんが、
少なくとも「ママみたいな生活したくないから、わたしはワーキングマザーにはならないんだ!」とは言われないようにしたいと、常々思うのです。